「1960年代のヒッピー文化、サイケデリック文化を代表するアーティスト」
「デッドヘッズと呼ばれる熱狂的な追っかけファンが多く、ヒットチャートとはほとんど無縁の存在ながら、毎年のようにスタジアム・ツアーを行い、常にアメリカ国内のコンサートの年間収益では一、二を争う存在だった」
「著名人の『デッドヘッズ』としては、第42代アメリカ合衆国大統領ビル・クリントン、元副大統領アル・ゴアと夫人ティッパー・ゴア、スティーブ・ジョブズ…」
「1995年8月9日、リーダーのガルシアの死去によってバンドは活動停止を宣言、解散した。その後メンバーが再集結してアザー・ワンズを結成、現
在は『ザ・デッド』の名でライブ活動を行っている」
…となり、これでだいたいイメージはつかんでいただけたでしょうか。
この伝説とも言えるバンドの運営形態をビジネスのヒントにしようという本がデイヴィッド・ミーアマン・スコットと、ブライアン・ハリガンの共著『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(渡辺由佳里訳/日経BP社)です。
この邦訳版は2011年12月にコピーライターでwebサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を主宰している糸井重里さんの監修で出版されました。
ふつうミュージシャンはリリースしたアルバムを売るためにライブ・ツアーなどを行うのですが、
グレイトフル・デッドはファンにライブの録音を許可するだけでなく、
良い音質で録音してもらうためのスペースまで設けていました。
そうすることで、
自分たちの音楽がコンディションのいい音源で広がって、
ライブの宣伝になるというわけです。
インターネットの普及が進んだ現代では、
珍しいとはいえない手法ではあるのですが、
グレイトフル・デッドはインターネットどころか、
「ウォークマン」すら発売される、はるか前から実行していたんです。
そんな彼らの音楽活動を参考にしたビジネス書が『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』です。
でも、この本にも書いているように「ユニークなビジネスモデルを作るのは非常に難しいことであり、『こうすれば必ずできる』という簡単な方法などない」。
そこでヒントになるような質問というのがあります。
「自社がライバルより3倍も優れているものは何か?」
「自社がライバルより3倍劣っているのは何か?」
…というのが、その質問。
で、どちらへの答えも「ない」だったら、
「ライバルを引き離すだけのユニークさはない。つまりすべての側面で勝つということはできないわけだ。だから自分だけにある特別なものについて考えなおす必要がある」としています。
もちろん、この他にもユニークなビジネスモデルのためのヒントが書かれています。
でも、
最初、この質問を読んだときは
「ありきたりだ」と思いました。
でも、実際にこの質問に回答しようとすると、
かなり含蓄が深いと思い直したのです。
まず「3倍」という数字です。
サッカーとか野球に置き換えると、
スコアが「1-0」でも「2-1」でもなくて、
「3-1」ないしは「1-3」または「3-9」などであるわけです。
当然のことですが、
たとえば「1-3」で負けているときと「1-2」で負けているときでは戦術が違ってきます。
1点差か2点差という違いは大きい。
チームにとっての、この違いをどれだけ理解できているのかが、その後に逆転できる確率を左右するのはわかっていただけますよね。
それから、
僕の経験では、
優れているものと、劣っているもの、両方を見つめるのはけっこう難しい気がしています。
だいたい、どちらか一方に気が偏って、
優れているなら、どうやってそれを伸ばすか、
劣っているのなら、どのようにして、克服するか…。
そこに意識が集中してしまうので、
結局、これまでやってきたことの延長線で対応を考えてしまうんです。
ところが、
優れているものと、
劣っているものについて考えることを2本の線を引くように併行させると…。
(抽象的な表現になりますが)
それらの線は直線とは限らないので、
2本が交差することもあるし、
また直線であったとしても、
3本目の線が現れてくることがあるんです。
これはビジネス以外でも言えることかもしれません。
たとえば「日本」という国のことを考える場合、
「○○国より3倍も優れているものは何か?」
「○○国より3倍劣っているのは何か?」
優劣を同時に考えてみれば、
ユニークな国の方向性が見えてくるかもしれません。
つまり良いところだけを見ていたらダメ。
悪いところだけを見ていてもダメ…というシンプルな話です。
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