2016年2月29日 |
きょう(2016年2月29日)付「日本経済新聞」朝刊で、気になる記事が2つありました。
ひとつは1面の連載企画「新産業創世記 難題に挑む(2)」。インパクト投資を牽引(けんいん)する英国の有力投資家、ロナルド・コーエン氏(70歳)の言葉です。
インパクト投資とは、利益だけを追う投資とも、寄付とも違う社会的な投資のことで、2013年の主要8カ国(G8)首脳会議で、英国のキャメロン首相が呼びかけて注目を集めた試みです。
コーエン氏はこの記事で“「世界はこれまでになく貧富の差が広がっている。だが、政府にはこの問題を解決するリソースがない」。だからこそ「社会課題には革新的な方法が必要になる」”と強調しています。
政府に格差を解決する力がないことは多くの人々が気づくようになってきていると感じていましたが、あらためて新聞紙上で活字となって明言されると、現実感が増したのです。
もうひとつはオピニオン面の米大西洋評議会シニアフェローのアンダース・オースルンド氏の寄稿とみられる文章。1952年にスウェーデンに生まれ、1991年~94年にロシアでエリツィン政権の経済アドバイザーもつとめたというオースルンド氏は、今世紀初めから多くの発展途上国で見られた急速な経済成長が長続きしていない現状に言及しています。
そして、それら新興諸国の「決定的な欠点」を「劣悪な統治」だと断言。国際NGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」(本部:独ベルリン)が発表している世界168カ国・地域の「腐敗認識指数」では、南アフリカ61位、ブラジルとインドは76位、中国83位、ロシア119位となっていることを示たうえで、「あしき統治によって、持続的な富と生産力を生み出す国家の能力が制限される」と指弾。「国民は汚職まみれの指導者を追放する必要がある」と訴えています。