写真はサンプルです |
恥ずかしい。
現在54歳。磯野波平と同い年で、今年9月には55歳になって四捨五入すると還暦。なのに…というか、だから…というか思い切って申し込んだバイトで不採用になりました。
まぁ先方にも色々と事情はあると思うので、固有名詞は差し控えますし、言ってもわからないと思いますけど、落語の定席です。
日本中に落語の定席はたくさんあるような気がしますから、紛らわしくならないためにもう少し詳しく書くと、大阪にあります。
たぶん、それだけでも雲をつかむような…たとえば、大阪にあるコンビニみたいなもんですから、もうちょっとだけサービスして書くと、天満にあります。天満といっても大阪天満宮界隈だけでも8軒の寄席があったそうですから、いくらそれが戦前のことだとしてもわかりにくいですよね。
でもすみません。ここはオトナなので固有名詞は出しません。
2月の終わりに、そこの定席のウェブサイトで募集をみつけたので、さっそく履歴書を書いて、写真を貼って、さらに応募要項通りに「●●亭スタッフとしての抱負」っていう作文を書いて郵送しました。
動機は「そこに定席があったから」です。
で、結果を待ちました。
だいたい1週間くらいで連絡をいただけるかな、と思っていたのですが、バイトをしたのは大学を卒業して入社式までの間、繊維を染色する捺染工場が最後なので、記憶が曖昧です。
このときも最初は同級生に「俺のバイト先でヒトが足らん言うてるから誰かが入るまでの間、やらへん? 2週間くらいやと思うけど」と誘われて、その翌日「あっ、明日から来てくれって言うてはるわ」って電話があって、条件もなんもよくわからないままに、いきなりシルクスクリーンの工場で、ひらすら畳1帖分くらいのアルミ枠のついたシルク製の版を洗ったり、セットしたり…これが12時間…。
2週間のはずが「誰か代わり」が入社式直前まで現れず学生生活最後の春休みは約2カ月バイト漬けの染料まみれでした。
話がそれました。
そう落語の定席のバイトに応募したんです。
1週間経っても2週間経っても連絡なし…。
でも「書類による選考の上、ご連絡させて頂きます。(月毎の選考となりますので、ご応募頂きました時期によってお返事に日数を要する場合がございます。)」と応募要項にあったので、お返事に日数を要する組に入ってしまったのだ、とさらに待って2週間。
もう1カ月も過ぎたので、もしかしたら書類が何かの事故で届いてないのかも、と思って確認のために電話したわけです。
すると、まず女性が出たので「すみません。raiQと申しますが、アルバイトの募集を見て応募書類を2月に送ったのですが届いていますでしょうか?」と言うと、「ちょっと待ってください。担当者に代わります」。いたって普通の対応、落語みたいに何か軽くボケでもかましてくれるかなという期待ははずれました。
男性に代わって「こちらから連絡をせずに申し訳ありません。書類は拝見しております」ということなので、「良かった。まだ『日数』を要する組のままやったんや」とホッとしたのも束の間。これまで日数を要していたのが嘘のように瞬殺です。「不採用」でした。
そして、そこからは一人反省会です。
なぜ、落ちたのか。
考えられる理由は…。
(1)履歴書を手書きではなくパソコンで書いたのが悪かった。伝統を重んじる世界なので毛筆で手書きが当たり前なのに、そんなこともわからない若造だと思われた。
(2)履歴書と言えば落語では「代書」。あんなノリで一人でワーワー言いながら時には「ポォーん」とか叫びながら作るべきなのに、その努力の跡がなかったので「代書」も知らない無知だと判断された。
(3)貼った写真の服装が和服じゃないうえ、スーツでもなく普段着のシャツで、身だしなみがなってない良識のない人間だとみられた。
(4)「抱負」にトイレ掃除でも何でもやります、みたいなことを書いたのが致命傷だった。すでにトイレ掃除の達人がいて、新顔がいきなりできる仕事ではないのに「こっ、こいつ厠(かわや)掃除をなめとる!」と定席側の逆鱗に触れた。
反省会をしても、それ以上、思い当たることがありません。
で、きのう(2017年4月2日)、大阪ミナミの劇場「道頓堀ZAZA」に漫才コンビ「しましまんず」のライブを観に行ったあと打ち上げに誘われたので末席を汚しました。
そこで「しましまんず」の藤井輝雄さん(50歳)にバイトに落ちたことを話しましたら「年、食ってるからちゃいますん」という鋭い分析をいただきました。
藤井さんは54歳でバイトに落ちた僕を哀れに思ったのか、おごってくれました。
ごちそうさまでした。藤井さん。
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