「紀伊民報」の電子版「AGARA」によると、
「札幌市出身で、米ニューヨーク在住のドキュメンタリー映画監督、佐々木芽生さん(53)が、クジラをめぐる世界の論争をテーマにしたドキュメンタリー映画を制作している」。
古式捕鯨発祥の地といわれる和歌山県太地町が主な舞台で、佐々木さんは29日(2015年6月)に和歌山・新宮市で記者会見しました。
映画をつくるきっかけになったのは、イルカ漁を批判的に描いたアメリカのドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」が、2010年のアカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞したこと。
「血に染まる真っ赤な海のシーンは世界中に衝撃を与えた。それで太地が世界から注目され、欧米の環境保護や動物愛護団体から攻撃されるようになった。それは一方的。日本の意見をきちんと発信しなければまずいと感じた」そうです。
佐々木さんが強調するのは情報発信の重要さです。
記事によれば、太地では漁船に乗り、クジラやイルカの追い込み漁も撮影したといい、
<「漁を見ても反捕鯨団体が指摘する残酷さは感じられなかった。必要なものだけを捕り、それ以外は逃がしていた。ザ・コーヴによって、追い込み漁と血の海が一緒になっている」と感想を漏らした。同時に漁師の発信力のなさを指摘し「反捕鯨団体はインターネットを活用して世界に発信している」と不公平さを強調した>。
中国で犬を食べることについて、
<「アメリカでこれに理解を示す人は少なくはない。中国系アメリカ人が発信しているからだ。しかしクジラを食べることにはほとんどが理解を示さない。同じように理解してもらえるよう映画で訴えたい」と語った。しかし日本側に立ち、ただ捕鯨の正しさを訴えるのではなく、中立な視点で人間ドラマに仕上げたいという>。
ここで僕が思い浮かべたのは、
「お天道(てんと)さまが見ていてくれる」という言葉です。
正しいことも悪いことも、
誰も見ていないようでも、
ちゃんと「神さま」とか「天」みたいなものが見てくれていて、
正しいことをすれば、恩恵があり、
悪いことをすれば、バチが当たるみたいなことですよね。
これを日本人特有の美学のようですが、
旧約、新約の聖書にも、コーランにも、
「神」はちゃんと見ているといった記述はありますし、
中国にも「天網恢恢疎にして漏らさず」という諺(ことわざ)がありますから、
人間に共通の考えなのでしょう。
ひと昔前の任侠映画なんかで、
主人公が道理に合わない、
義理が通らないことに耐え忍ぶけど、
最後に堪忍袋の緒が切れて、
相手のところに乗り込んで、
悪い親分を叩き切る…というのが、
ひとつのパターンになっていた印象があります。
これはこれで胸はスカッとしますし、
正しい人の道というものを説いているんでしょうし、
人の噂や評判が正しいとは限らないという教訓も含んでいると思います。
でも、主人公がちゃんと情報戦を展開していれば、
血を流さなくて済んだかもしれません。
それじゃ任侠映画にはならないので、
小学校で児童がアクビをしながら鑑賞する教育映画になってしまいますけどね。
いずれにせよ、
絶対的に正しいことなんてないでしょうから、
お天道さまは見ているかもしれないけれど、
それは、
本当に見ているだけかもしれません。
ウィンドウショッピングのように、
“I'm just looking”。
それはそれで公平な気もします。
そういう意味で、
お天道さまが見てくれているからといって、
言うべきことを言わないのは、
怠慢ともいえます。
お天道さまを盾にして、
できることをしないと、
「お前、怠けてるな」とかいうことになって、
逆にバチが当たるかも。
だから相手が情報戦を仕掛けてきたら、
こちらも応戦する必要があると思いますし、
先手を打つことが必要な状況もあるのでしょう。
そして大事なのは、
できるだけ自分の土俵に引き寄せて、
戦うことだと思います。
相手が先に情報発信で仕掛けてきたら、
まず、その間違いの部分を否定する情報を発信することが大切ですが、
それでは単なる火消しで終わってしまいます。
それとは別の、
自分の土俵でも情報を発信して、
相手をそこに引き込むことも大切でしょう。
ただ、そこでのルールみたいなものをグローバルにしないと、
理解されずに、
相手が土俵に上がってこない場合があるので要注意。
自己満足の独りよがりというやつです。
(日本の官主導の情報発信はこれが多い気がするのは僕だけですか?)
もちろん、
相手が強くて、
横綱、大関は外国人ばかり…ということになる恐れもあるけれど…。
ただ振り返ってみれば、
小津安二郎や黒澤明の映画や、
宮崎駿のアニメなど、
日本の“文法”で多くの海外の人々の心を動かしている例もありますから参考にしたいですし、
佐々木さんのドキュメンタリー
映画がそのような作品になることを期待しています。
映画づくりのための資金集めはインターネットの「クラウドファンディング」を活用していて、1500万円を目標に7月22日まで続けるそうです。
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