2015-06-16

「住み良い都市」は「良い都市」か

日本経済新聞(電子版)=2015年6月13日=によると、

“英総合月刊誌「モノクル」は2015年の「世界の住み良い都市ランキング」で東京が1位になったと発表した。昨年の2位から順位を上げた。巨大都市にもかかわらず平和で静かな環境を実現している点が高く評価された。福岡が12位、京都が14位と日本の他の都市も上位に入った”。

海外には観光や仕事でしか行ったことがないので、
外国のことはよくわかりません。
でも、
東京が1位なのもよくわかりません。
円安の影響はあるでしょうけど…。

僕は1年足らずの短い期間でしたけど、
東京には住みました。
その他でいうと、
和歌山で生まれて高校卒業まで暮らし、
そのあとは大学時代は京都で4年、
就職して初任地の神戸で4年、
そのあとは東京勤務時代を除いて大阪です。

このなかで一番住みにくかったのが東京でした。

比較の問題なので、
東京がダメというんじゃないです。

部屋を借りたのは谷中(やなか)で、
東京メトロ千代田線を使えば最寄りの千駄木駅から大手町までは10分ほど。
「谷根千(やねせん)」といわれる昔の風情を残した地域です。
「谷根千」というのは、寺町の谷中、下町の根津、武家町の千駄木の総称で、台東区と文京区と荒川区が重なっています。

商店街(谷中ぎんざ)もあって買い物も便利だし、
部屋から、
千駄木駅まで徒歩5分弱、
JR日暮里駅にも10分かからない。
近所には歩いて3分から10分圏内に銭湯が3軒もあったし、
快適ではありました。

でも先にも書いたように比較の問題にすると、
関西より住みやすいとは感じませんでした。

具体的にいうと、
気軽に京都に行けないとか、
「大衆的」に見える飲み屋の勘定が関西に比べて高いとか、
昼ごはんを食べに行くと定食が、
ご飯とメーンのお皿と味噌汁だけというところがけっこうあって、
値段も関西より100円から300円高い印象でした。
それから、
全国的にみると、
地方の県の県庁所在地で一番乗降客が多い駅よりも、
賑やかな駅がいっぱいあって、
人が多い。
アメ横なんて、いつも大晦日か!って思いました。

ケチをつけるとすればそれくらいで、
情報は集めやすいし、
展覧会や文化イベントは多いし、
見るべき施設も多く、
さすが日本の「首都」って感じです。
何よりも、
あれだけヒトが生活しているのに、
大阪に比べると不法駐輪がものすごく少ない(…これは感心しました)。

そういう意味で、
東京が優れた都市だというのは認めざるを得ません。

ただ、僕には暮らしにくかった。
俗に言う「水が合わない」という感覚ですね。

東京勤務期間中は、
関西に帰ってくると、
心底ホッとしました。

東京の人混みに比べると、
大阪の地下街なんて人通りが少ないくらいに感じて、
それまで少々鬱陶しいと感じていた混雑も苦にならなくなりましたしね。
正直に言うと、
大阪の方が人が少ないことが口惜しいくらいでした。

で、そんな東京で生活していたある日、
新幹線でJR新大阪駅に着いてから、
大阪駅まで、ひと駅在来線で乗り継いで梅田の地下街に着いて気づいたことがありました。
電車のなかでも、
なんだか東京と様子が違うなぁとは感じていたんですが、
その理由がわかったんです。
東京より人の数は少ないのに、
大阪のほうがやかましい。
ひとりひとりの声が大きいうえに、
会話している割合が多いからでしょう。

もしかしたら、
東京に「水が合わない」のはこんな雰囲気に慣れてしまったせいかも、と思いました。

反対にいうと、
首都圏で長く暮らした方は、
大阪のこんな空気には「水が合わない」かもしれませんね。

ただ東京が住み良い都市で世界一になったという記事に話題を戻すと、
僕はそれが必ずしもいいことだとは思えません。

暮らしやすさにつながる日本人の礼儀正しさや大人しさを利用しようとする人間もいるからです。
僕は実際に、
ある外国人から「日本人は自分の母国の人間に比べたらチョロいと考えている知り合いは少なくない。だから日本の方が商売がしやすいみたい」と聞いたことがあります。
さらに「ただ大阪だけはちょっと事情が違うけど…」とも。

この言葉が耳に残っているので、
都市はワイルドな部分が残っているほうが良いと考えています。

「巨大都市にもかかわらず平和で静かな環境を実現している点が高く評価された」というのは、
眼に見えにくいところで、
外部の人間によって深い闇のような空間が作られやすいということだからです。

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